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生物多様性や自然破壊の問題の解決のカギとなる「ネイチャー・ポジティブ」という言葉について、定義やその重要性を伝える2分程度の動画です。世界最大規模の自然環境保護団体である国際NGOのWWF(世界自然保護基金)が制作しました。
動画の前半では、現在の地球上の野生生物の危機的な状態が紹介されます。動画によると、森の50%が消失、100万種が絶滅の危機にあり、海ではサンゴ礁の75%が危機的状況にあるとのことです。また、この影響で気候変動が加速し、多くの災害が起こっています。
こうした中、解決策の1つとして注目されているのが「ネイチャー・ポジティブ」です。WWFジャパンのウェブサイトの説明 によると、これは「2020年をベースラインとして、2030年までに自然の損失を停止、または反転させること(Locke et al., 2021)」を意味します。自然が減り、生物多様性が失われ続けている現状を食い止め、むしろ2020年よりも良い状態にしよう、という呼びかけとも言えます。
「ネイチャー・ポジティブ」は生物多様性の豊かさを取り戻すために必要だとして、国際会議の場で注目され、企業、市民のあいだでも注目されています。動画の後半では、ネイチャー・ポジティブな状態がもたらす具体的な効果として「人々に食料を与え、水問題を解決し、気候変動への対策になり、命を守りサステナブルな経済を作る」といったことが挙げられています。
ネイチャー・ポジティブの実現は、個人だけではできません。政府や企業の呼び掛けが必要不可欠です。政府の取り組みとしては、国際会議での議論への参加や国内でのルール作りがあります。企業としては「気候変動対策」に加え「生物多様性」を重要課題の1つとしてとらえ、自社活動が自然にもたらす悪影響を最小限にとどめ、良い影響をプラスにもっていく施策を実施する必要があります。自然資本がなければ事業の存続が難しいという側面もあるので、すでに「生物多様性」を重点課題に挙げ、進めている企業も出てきています。「ネイチャー・ポジティブ」が注目される理由、そして、今後の展開について考えてみましょう。
▶︎「ネイチャー・ポジティブ」はなぜ重要なのでしょうか? 地球全体、企業、政府、市民のそれぞれの視点で理由を考えてみましょう。
▶︎「ネイチャー・ポジティブ」を重点課題の1つに掲げている企業を見つけ、その取り組み内容を紹介してください。
参照:
生物多様性の国際交渉は最終局面!CBD COP15で決まる国際目標が日本の企業やビジネスに与える影響(WWFジャパン)
生きている地球レポート2022 ー ネイチャー・ポジティブな社会を構築するために ー(WWFジャパン)
ネイチャー・ポジティブとは(IDEAS FOR GOOD)
Nature positive by 2030(WWF)(英語)
第1回 ネイチャーポジティブ経済研究会 議事次第・議事録・資料(環境省)
曽我美穂