飢餓をゼロに ~SDGs目標2解説動画(渡邉清孝 氏)

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飢餓をゼロに

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NPO法人ハンガー・フリー・ワールドは、SDGs目標2の「飢餓撲滅」に向けて、途上国の人たちが自力で食料を確保できるよう、農業技術指導や栄養改善などを通じて支援している団体です。

すべての人はいつでもどこでも十分な量、かつ安全で栄養のある食料を得られる権利(食料への権利)を持っています。しかし、世界ではまだ約8億人が飢餓状態にあるのが現状です。その一方で、先進国ではサハラ砂漠以南の地域の年間農業生産量に匹敵する食品が捨てられているといういびつな現実があります。

SDGsの前身であるMDGs(ミレニアム開発目標)の期間で、世界の飢餓人口はほぼ半減しました。SDGsで2030年に飢餓をゼロにするためには、どのようなアプローチが必要なのでしょうか。30年以上にわたって飢餓撲滅の現場で活動してきたHFWからの熱いメッセージをご覧ください。

渡邉 清孝 氏
(NPO法人ハンガー・フリー・ワールド 理事 事務局長)

1967年宮城県生まれ。東北学院大学卒業後、会社員を経て1993年入職。ファンドレイザー職を経て2003年から現職。企業とNGOの連携推進やNGOのアドボカシー関連の組織作りに従事。現在は、“社会的インパクト評価イニシアチブ”の運営メンバーとして活動中。NGOの資金調達・組織運営に関する講演多数。


世界人口の増加や食生活の変化に伴い、世界の食料需要は、2050年までに、2000年時点の1.6倍にも達すると予想されています。その一方で、現在でも世界人口の9人に1人にあたる7億9,500万人が栄養不足の状態にあります。

すべての人たちが、生きるために必要な食料を、必要な時に、安定的に入手することができる「食料安全保障」を実現するには、何が大切なのでしょうか。それは言うまでもなく、農業です。

食料を生産するには、肥沃な土壌や水といった自然資源が必要です。海や川から魚介類などの食料を得る際には、将来も獲り続けることができるように、適切な資源管理が必要です。種の遺伝子の多様性を維持することで、その土地の風土に合った、栄養価の高い植物を育てることも効果的でしょう。このように、将来にわたって自然界から食料を得続けていくためには、自然資源に過剰な負荷をかけない形で持続可能な農業を進めていくことがポイントとなるのです。

農業生産性を高めるために、遺伝子組換えなどのバイオテクノロジーの研究も進められています。このような科学的アプローチを導入するにあたっては、環境や健康に悪影響がない、適切な技術であることが十分に配慮されることが必要でしょう。

持続可能な農業の推進は、とりわけ開発途上国の貧困撲滅とも密接に関わっています。

開発途上国は農業を主な収入源としており、そこでは大半の農家が小規模農家です。彼らの生産性と収入を倍増させ、世界の貿易システムがこうした小規模農業者に不利な状況をもたらさないようにすることがうたわれています。穀物などの農作物は、家畜の餌や、バイオ燃料としても注目されていますが、このような需要が食料価格の高騰を招き、貧しい人たちが食料を手に入れられない状況に陥らないような配慮も必要です。

現在、先進諸国を中心に、食と農をめぐる新しい動きが生まれています。都市生活者が農村部の生産者と直接つながり、持続可能な農業を応援する都市農村交流。見た目の悪さや、賞味期限切れを理由に無駄にされる食品廃棄(フードロス)をなくそうというアクション。昔からその土地に伝わる在来種の種を守っていこうという「シードバンク」活動など、その取り組みはさまざまです。

人口も、自然災害もますます増加することが予測される2030年。この年までに、世界から飢餓をなくし、すべての人が安全で栄養価の高い食料を得られるか―。食料自給率が低い日本は、自国内での自給率アップに向けた取り組みだけにとどまらず、世界の食糧安全保障の実現に向けた貢献も求められます。

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