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持続可能な世界を実現するためのグローバル目標SDGs(Sustainable Development Goals)。国内でもSDGsを使った具体的な取り組みが始まっているなか、授業で扱う学校も増えてきています。
滋賀県守山市にある立命館守山高校は、さまざまな科目でSDGsを使った授業を実施しています。
高校3年生必修「コミュニケーション英語Ⅲ」では、全員で17あるSDGsのゴールを一人一つずつ担当。英語版のプレゼンシートを使って、例を挙げながら説明しました。質疑応答も、英語で行いました。
さらに、教科書やweb上のデータや資料をもとに、各ゴールからどんなステップが考えられるかをプレゼンしました。行われた議論では、sustainability(持続可能性)、affordabillity(手頃な価格)、simplicity(簡単)といった単語が飛び交い、SDGsのインプットがあったからこそ深い議論ができました。また、生徒自ら教科書の読みを深めるアクティブラーニングが自然と行われていました。
もう一つの「コミュニケーション英語Ⅲ」の授業では、立命館アジア太平洋大学の国際学生たちとともに、国際学生の出身国であるベトナム、中国、韓国のSDGsに関連する社会問題を取り上げ、グループごとに解決策を考えました。
他国出身の学生とディスカッションをすることで、問題を自分ごととして捉え、「自分はいかに貢献できるか」を具体的に考えるという、一歩踏み込んだ考え方ができるようになったそうです。
また、教室が正解や既知情報を発表しあう場から、知らないことやわからないことを話し合い探究し合える場となり、生徒からは自然と問いが生まれるようになりました。
高校3年生の「国際協力」の授業では、世界各地にある貧困や紛争、医療、環境問題などについて考える授業が行われました。
吉本興業のプロモーション動画などからSDGsのことを学び、解決すべき問題は世界のどこか遠くで起こっていることではないこと、さまざまな要因と関連しているということについて考えました。
そして、JICAや国際協力に取り組むNGO・民間企業の講演を聞いたあと、フィールドワークや調べ学習を実施。今後生徒たちは、自分たちでできる国際協力を考えプレゼンを行う予定だそうです。
ブータンでの看護師について JICA関西青年海外協力隊経験者 瀬川 裕美さん |
株式会社ボーダレス・ジャパン 廣瀬 智之さん(卒業生) |
コマツの地雷除去に関するCSR/国際協力活動 株式会社小松製作所(コマツ) 柳楽 篤司さん |
パナソニックのソーラーランタンに関するCSR パナソニック株式会社 奥田 晴久さん |
高校3年生の「物理」の授業では、ダン・ロスステイン著『たった一つを変えるだけ』で提唱されている手法「QFT(=Question Formulation Technique)」をアレンジし、40分の質問づくりワークショップを実施しました。
「なぜ物理を勉強するのか?」「物理を学ぶことで何にどのように貢献できるか?」といった質問を通し、SDGsと物理がどう関連しているかをメイントピックに、問題をどう捉えどう考えていけばいいかを学びました。
高校3年生の「世界遺産」の授業では、世界遺産とSDGsとの結びつけや、世界遺産保護の意義について考えました。学生たちはまず、行きたい世界遺産を一ヶ所選び、その写真を授業支援アプリ「ロイロノート」を使って提出。
次に、その世界遺産が世界やその国に存在することにどのような意義や価値があるのか、SDGsのどのゴールに役立っているのかを考えました。そして、選んだゴールとその理由を提出し、グループ内で意見を共有。そこで他の意見や視点の違いについてや、SDGsの繋がりや広がりについて学びました。
高校1年生の「世界史A」の授業では、今の時代にSDGsが定められた要因として、これまで「持続不可能」なことをし続けてきた過去があるということを授業開きで学び、世界史を学んでいく上での動機づけとしました。
その後の授業では、歴史上の出来事をSDGsのゴールと結びつけ、目標達成の背景について理解を深めます。過去・現在・未来の繋がりを学んだ上で、今後は現代社会の課題から興味のあるテーマを選び、持続可能な社会実現のためにどのような取り組みが必要かを考えていくそうです。
生徒たちは、学校でSDGsを当たり前として学ぶことで、社会問題を自然と自分ごととし、高い問題解決能力を持って問題に取り組むことができるのではないでしょうか。
社会問題が溢れた世界と、それを解決することに時間を使うことが「当たり前」である彼らが大人になったとき、どんな社会が実現されるのか。今から楽しみでなりません。
参照:立命館守山高校
(松尾沙織)