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2019年第40回ユネスコ総会で「持続可能な開発のための教育:SDGs 実現に向けて(ESD for 2030)」が採択されました。持続可能な社会づくりに教育は欠かせないということは世界の共通認識です。また、学習指導要領には「持続可能な社会の創り手」を育むという言葉が掲載され、日本の教育においてもESD(持続可能な開発のための教育)の重要性が明記されました。
この動画では、ESDの要素を取り入れた授業づくりとその効果を紹介しています。ESDとはなにか、どのように考え授業に組み込むといいのか、映像を見ながら考えていきましょう。
ESDとは、地域の課題や世界の問題を多面的批判的に捉え、その問題解決に向けた行動と持続可能な地域社会の実現を考える実践的な教育です。子どもたちにどのような力を育んでもらいたいか、そのためにどのような授業を行うのか、という子どもたちの能力向上目標を起点に、教師が学習テーマや地域課題を設定することから授業づくりが始まりました。さらに、地元で活動する方々の協力も得るとともに、豊富な情報量を有する映像教材を活用し、生徒同士の話し合いの時間に重点を置いた授業となりました。
ESD授業の特徴の1つ目は「参加」。生徒が体験を通して学ぶ参加型の学習を取り入れること。2つ目は「対話」。お互い意見を伝え耳を傾ける話し合いを重ねることでコミュニケーション力を育んでいくこと。3つ目は「協働」。様々な方と協力することを通じて新しい学びを得ること。
このような視点で授業づくりを行うと、今まで「ギフチョウを学ぶ」だった視点が、「ギフチョウから学ぶ」へと変化したと教員からの話がありました。さらに、地域の持続可能性への意識は、森林と工場が隣接している現場への視察や環境保護の活動をされている方々のお話を聞くことを通して、生徒自身が深めていけるように工夫されていました。
担当教諭より、「身近な里山に興味がなかった生徒が、山を好きになりました。体験等が生徒の意識を変えたと思います。」、「モノだけではなくそれに携わる人への想いにまで目を向けていった。」と生徒が自身の地域に愛着を持つとともに、よりよい地域にするために何ができるか考える等の意識や視点の変化がみられたというコメントがありました。また、教員自身も「地域で生きる当事者として意識が育まれた。」と具体的な成果がありました。
ESDは大きな概念であることから、しばしば分かりにくいという声が聞こえますが、持続可能な社会づくりやSDGs の達成に向けてESDの重要性は高まっています。そのようなESDの授業づくりに参考になれば幸いです。
※本映像は、平成27年度ESD環境教育プログラム実証事業等に係るESD環境教育プラグラムの作成・展開業務の一環として制作しました。
参照:
持続可能な開発のための教育(ESD:Education for Sustainable Development)(文部科学省)
ESDって何だろう?〔PDF〕(環境省)
(大崎美佳)