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労働は生活の糧を得るための手段であると同時に、社会的役割を果たしながら自己実現を図ることで豊かな人生を送ろうとする上でも重要な要素です。
しかし、すべての人が望む仕事に就き、働きがいや十分な収入を確保できる環境が整えられているとは限りません。
世界の失業率は上昇傾向にあります。2012年の失業者数は約2億200万人にのぼり、このうち7,500万人が若年層です。グローバリズムやロボット化の進展、先進国の低成長などが影響しているとみられます。
また、移民や女性、児童など社会的立場の弱い人々を過酷な労働条件で働かせている現場があることも、見逃せません。
例えば、私たちが身につけている宝石や、携帯電話などに使われるレアメタルの採掘現場では、児童労働や低賃金労働といった問題が多く指摘されています。化学物質を長時間扱うことで健康を損なったり、周辺の環境が汚染されるといった問題も起こっています。
年齢や性別、障害の有無や国籍に関わらず、誰もが尊厳を持って働けるためには、働く人々の権利を保護し、安全な労働環境を保障することが大切です。環境だけでなく人権にも配慮された「エシカル」な商品やサービスを消費者として選択することも、労働者の権利保護や安全な労働環境を重視している姿勢を表明する上で、大きな力を持つでしょう。
経済的な発展を成し遂げながら、同時に誰もが働きがいのある、人間らしい仕事(ディーセント・ワーク)に就くことができる社会に向けて―。ICT(情報コミュニケーション技術)活用をはじめとする技術の向上や、同一労働同一賃金の推進など、イノベーションと政策の両面から取り組みを促進させることが求められています。