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未来を守る「生態系農業」を広げるためにできること 〜一般社団法人グリーンピース・ジャパン〜

世界55ヶ国以上で活動する国際環境NGOのグリーンピース。海外でのセンセーショナルなアクションのイメージを報道などを通じて抱いている方もいるかもしれませんが、実はSDGsの達成にとって重要なテーマである「持続可能な農業と食を守る」という命題にフォーカスした活動に地道に取り組んでいます。

 

「生態系農業」を進めるメリットとは?

 

中でも今力を入れているのは、持続可能な農業と食を守る「生態系農業」を普及させることです。生態系農業とは、各地域の環境条件に合わせながら、土地の力を最大限に引き出し、生物多様性を守り、コミュニティを強くし、地産地消の推進にもつながる農業のあり方。グリーンピースは2015年、生態系農業を支える7つの原則を発表しました。

 

 

1、食料の自己決定権を取り戻す

…生産者と消費者が巨大企業にコントロールされずに、自分たちの食べ物を自由に作ったり、望んだ食べ物を手に入れられたりできること。

2、農村地域の発展、貧困、飢餓の問題解決に寄与

…食べ物を作り出してくれる農家や漁師のコミュニティが、労働に見合う安定した生活を送れること。

 

3、経験と科学を活かした生産方法と持続的な食のあり方につながる

農家の培ってきた経験と科学に基づく方法で、必要なところで持続可能な生産をし、穀物を大量に消費する家畜の大量生産や食料廃棄物を減らすこと。

 

4、生物多様性の尊重

…単一の作物栽培=モノカルチャーをやめ、多種多様な作物を育てることで、自然本来の生物多様性や景観を守り、私たちの食卓の彩りや栄養バランスを守ること。

 

5、土壌の健全性と水質の保全

…今日の淡水汚染の最大の原因は農業。化学物質で水や土壌を汚染することなく、土の豊かさを保つこと。

 

6、生態系の力を活用した無農薬の害虫防除

植物や益虫を使って雑草や害虫をおさえ、化学農薬の使用をカットすること。

 

7、気候変動に対応できる食料生産

気候変動によって世界中で干ばつや洪水が起きている。生態系農業が育てる有機的な土は、自然災害に負けず、食料を生産し続けられる。食料システムを再デザインすれば、気候変動の影響を和らげることができる。

 

グリーンピース・ジャパン「食と農を守る」参照〜

 

 

生態系農業とSDGsの関わりについて、グリーンピース・ジャパン食と農業担当の関根彩子さんは、こう解説してくれました。

 

「生態系農業は農薬や化学肥料やGMO(遺伝子組み換え)種子を使わないほか、食料主権やコミュニティを重視するので、持続可能な食と農業(目標2)の推進につながるだけでなく、貧困撲滅(目標1)、ジェンダー平等(目標5)、陸の生態系保護(目標15)など、SDGsの様々な分野の目標達成に寄与できると思います」

 

 

グリーンピースでは、単に生態系農業を良いと訴えるだけでなく、科学的なデータを用いてそれを証明しようとしています。例えばインドでは、農家が綿の慣行栽培から有機栽培へ転換するに当たって、収入や肥料コスト、土地の栄養度など複数のデータを取るフィールドスタディを実施。その結果、有機栽培に転換しても慣行栽培に対して不利になる結果は得られなかったそうです。(グリーンピース・レポート「生態系農業」【PDF】

 

「北風」と「太陽」の力でオーガニックを広げる

 

グリーンピース・ジャパンでは今、悪いことを正す「北風」と良いものを応援する「太陽」という2つの異なるアプローチで、持続可能な未来につながる生態系農業を広げようとしています。

 

まずは、生態系農業の普及を阻むネオニコチノイド系農薬の規制強化を呼びかけるキャンペーンです。ミツバチの大量死などの重要な要因と考えられ、人間の脳や神経への有害性が指摘されているネオニコチノイド系農薬。欧州や米国、韓国では一部種類のネオニコ系農薬の使用禁止など規制強化の方向に進んでいる一方、日本では使用量が増えるとともに、残留基準も緩和されるなど、ネオニコ系農薬をめぐる状況はむしろ悪化しています。

 

そこで現在、政府に対して規制強化に向けた署名提出などのロビーイングを行うとともに、ネオニコ系農薬を使っていないお米の取り扱いを増やすよう小売店に働きかけています。

 

もう一つは、オーガニック食品の取り扱いを増やすよう小売店に働きかける「オーガニックを身近に!」キャンペーンです。日本の有機農業の作付面積は全体のわずか0.5%にとどまるため、農家が有機農業に取り組みやすくできるよう、小売店にオーガニックの特設コーナーをつくってもらったり、オーガニック食品の取り扱い比率の目標を約束してもらったりするキャンペーンを昨年5月からスタートさせています。

 

キャンペーンへの参加を呼びかけた小売店のうち、イオンはオーガニックコーナー常設店舗を日本全国に増やし、身近に買える体制を作り上げているとして、ネオニコ系を含む農薬の削減への協力も今年2月に表明。全国の生協店舗の連合体であるコープデリ事業連合は、ネオニコ系農薬不使用に転換した生産者と

の連携を希望しているそうです。

 

小売り企業や農家とのコミュニケーションを続けるグリーンピース・ジャパンの活動は、消費者の立場から持続可能な食と農業を支える上で欠かせない判断材料を与えてくれます。グリーンピース・ジャパンの「食と農を守る」特設ページ、ぜひチェックしてみて下さい。

http://act-greenpeace.jp/food/

 

グリーンピース・ジャパンが制作したこちらの映像では、東京都三鷹市で3世代でオーガニック農業を推進している農家を紹介しています。私たちが望む生態系農業の未来は、もう始まっています。