Contents navigation
一般社団法人SDGs市民社会ネットワーク(SDGsジャパン)は、国連ミレニアム開発目標(MDGs)推進のためのNGOネットワーク「動く→動かす」を母体に、日本でのSDGs推進に向けてNGOサイドから政府へのロビーイング、マルチステークホルダーによる連携推進、市民へのSDGsの普及啓発に取り組むために2016年4月に発足したネットワークです(2017年2月に一般社団法人化)。現在、SDGsに関わる国内のNGO/NPO約100団体が参加しています。
同ネットワークには、SDGsに関わるテーマごとに12のユニット(環境/開発/障害/ジェンダー/防災/貧困・格差/ユース/地域/社会的責任(企業のCSR)/教育/国際保健/キャンペーン・広報)があり、それぞれのテーマで長年活動してきた国内のパイオニア的なNGO団体がユニットリーダーとなって、勉強会やイベントなどを行っています。
具体的なストーリーでSDGsを自分ごと化
2015年のSDGs開始以来、国連をはじめとする関係者やサステナビリティへの関心層を中心としたコミュニケーションを通して、企業を中心にSDGsの浸透が進みつつあります。大手メディアでの報道も増えてきたものの、一般市民のSDGsの認知度はまだまだ低い、と同ネットワークでは捉えています。それはなぜか―。
「SDGsはどうしてもグローバルな視点からのアプローチになっているので、日本のコミュニティの課題と結び付けにくいと考える人が少なくありません。『SDGsとは何か?』を理解してもらうフェーズから一歩進んで、SDGsをより具体的に自分ごと化してもらえるようにならないと、SDGsの一般市民への理解は広がらないのではないかと思うのです」(コミュニケーション・ディレクターの長島美紀さん)
では、どうすればいいか―。
とにかく身近で具体的なエピソードから「実はこれらはすべてSDGsにつながっている」ということを一般の人たちにイメージしてもらうことが大切だと考えた同ネットワークは、2017年春から「サステナブル・ストーリー・プロジェクト」と題したSDGsの普及啓発プロジェクトをスタート。その第一弾として、5月に「うな丼セットが届くまで~サステナブルな海と大地の活用方法は?~」を開催しました。ニホンウナギの絶滅危惧種入りというテーマを起点に、実は他の魚種についても持続可能な漁獲管理が必要なこと(目標14)、さらにはご飯やお味噌汁を通じて自給率の低さや持続可能な農業への取り組み不足といった日本の現状(目標2)に至るまで、SDGsの課題につながる議論が展開されました。
SDGs市民社会ネットワークが開催したイベントにて
2030年の社会の方向性を考えることがSDGs
考えようによっては、日々流れてくるニュースのほとんどは、何らかの形でSDGsとつながっていると言えます。
「ちょうど最近、高知県大川村で村議会の存続危機で住民総会の設置が検討されていて、そのような自治体が全国でも増えてきているというニュースがありましたが、これも例えば、持続可能なまちづくり(目標11)につながっていきます。『2030年に向けて自分の地域は、日本の社会はどこに向かうのだろうか?』と考えることは、すべてSDGsにつながるのではないでしょうか」(長島さん)
同ネットワークでは今後、一般の人たちにできるだけ具体的にSDGsを体感してもらうためのキャンペーンとして、SDGsに関わる領域で活動している各団体や企業が、2030年に向けてゼロにしたい(あるいはゼロを目指したい)ことへの支持を広げるためのキャンペーンを展開する予定です。さらに、貧困・格差といった日本で顕在化している喫緊の課題に取り組んでいる主体や当事者とのつながりも強めたいと考えているそうです。