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公益財団法人オイスカは1961年の発足以来、日本各地で農業研修センターを運営しながら、アジア太平洋地域で持続可能な農業を基盤とした地域づくりを担う人材育成に取り組んでいる、日本発祥の国際NGOです。
環境マインドを持った次世代を育成
折しも、各国のSDGsの取り組みや進捗状況を確認するために7月中旬にニューヨークの国連本部で行われたハイレベル政治フォーラムにスタッフを派遣し、SDGsの各目標に関わるオイスカの事業を各国関係者に紹介しました。例えば、乾燥地帯の農家の生計改善を支援するミャンマーでの事業(目標1)、野菜の加工品製造を通じて女性の社会進出を支援するインドネシア・ジャワ島での事業(目標5)などです。中でも、インドネシア各地で展開しているマングローブの植林事業(目標14、15)は、オイスカが長年にわたって続けている緑化活動に「子供の森」計画を掛け合わせて行ってきた事業です。
「子供の森」計画事業は、世界各地で小学生を中心に植林を通じた生態系保護(目標15)と環境教育(目標4)をセットにして行っているプログラム。1991年の開始以来、36の国と地域4900校ほどでプログラムを行ってきました。各国にあるオイスカの拠点が主体となって広がっているプログラムです。毎年複数の実施国の児童・生徒らを日本に招待して、自分たちの地域での植林活動について、「子供の森」計画のスポンサー企業や小学校を訪問しながら子どもたち自身がプレゼンテーションし、お互いに交流する機会も持っているそうです。
「子供の森」計画の個人サポーター(年会費一口5000円)は、約6000口にのぼるという
民のチカラで持続可能なインフラ整備も
オイスカでは現在、農業人材の育成や植林における長年の実績とノウハウを生かしたユニークなインフラ整備事業にも取り組んでいます。それが、東日本大震災で津波被害を受けた、宮城県名取市での海岸松林の再生です。事業の実施主体は地元農家を中心とした有志による「名取市海岸林再生の会」で、オイスカはクロマツの育苗や植林の技術指導、資金集めや広報などを担っています。10年間で100ヘクタールの植林を実施予定で、これまでに約50ヘクタールに対してクロマツの植林が終わり、一時は姿を消した野鳥や昆虫が戻ってくるようになっているそうです。
資金については、会員からの支援や国内外企業からの寄付で賄っており、目標額は10億円。オイスカ常務理事・海外事業部長の森田章さんは「民間資金のみでこの規模のインフラ整備を手掛けるのは前例がないのではないか」と話しています。地元と良い形でパートナーシップを築いていることも評価され、国が今年度から始めたインフラ・メンテナンス大賞で農林水産大臣賞を受賞しました。
オイスカでは2015年から、各国拠点が一堂に会する年次会議の際に、自分たちの活動とSDGsの各目標がどのように関わっているかについて話し合い、SDGsとの関連性を意識しながら発信することを心掛けるようになっているそうです。オイスカの森田さんは「実際の取り組みはこれから。今後はもっともっと発信していきたいと思っています」と話しています。