水と衛生

安全な水とトイレを世界中に

すべての人々が、安全できれいな水を得ることができる、衛生的な環境で暮らせるようにします。そして、そのために必要な水インフラや衛生施設を、環境や社会に過剰な負担をかけることのない、持続可能な方法で管理できるようにします。

 

■ 解説映像

橋本 淳司 氏
水ジャーナリスト
アクアスフィア 水教育研究所 所長
武蔵野大学工学部環境システム学科非常勤講師
NPO法人ウォーターエイドジャパン理事
NPO法人 地域水道支援センター理事

 

学習院大学卒業。出版社勤務後、独立し現職。水課題を抱える現場を調査し情報発信。国や自治体への水政策の提言、子どもや一般市民を対象とする講演活動などを行う。参議院第一特別調査室客員調査員、東京学芸大学客員准教授など歴任。近著は『100年後の水を守る 水ジャーナリストの20年』(文研出版)、『67億人の水』(日本経済新聞出版社)、『日本の地下水が危ない』(幻冬舎新書)、『通読できてよくわかる水の科学』(ベレ出版)、『いちばんわかる企業の水リスク』(誠文堂新光社)など。

 

 

水と文明の発展は、密接な関係にあります。

 

河川は肥沃な大地をつくり、農業用水や物流経路として、商業の発展に貢献しました。水の豊かな河川の流域には人口が密集し、都市が発達しました。大量の水を必要とする工場や、住宅街の開発が進み、洪水を防ぐために、多くの河川工事が行われました。こういった営みは、人間の暮らしと自然との関係性、そして生態系や景観にも大きな影響を及ぼしていきました。

 

今、世界的な人口増加と都市化、そして気候変動といった要因が、水資源に大きなストレスを与えています。その結果、世界ではどのような問題が起きているのでしょうか。

 

異常気象による水不足は、農作物の収穫に大きな影響を及ぼし、食料価格の高騰を招いたり、農家の収入に大きな負担を与えています。農作物をつくるために必要な水の量を「バーチャルウォーター」と言いますが、今後、世界的に肉食の需要が高まると、食料生産にさらに多くの水が使われることになります。日本は食料自給率39%(カロリーベース)で、食料の多くを海外から輸入しているため、決して他人事ではありません。このままの消費パターンが続くと、2025年までに世界人口の実に3分の2が、水ストレスのある国に暮らすことになると言われています。そうなると、貴重な水資源をめぐる争いが激化するリスクが高まります。

 

水と衛生は、貧困問題にも大きく関係しています。開発途上国を中心に、世界の25億人の人たちが、公衆トイレなどの衛生サービスが利用できずにいます。貧しく、衛生的な水が得られないことが原因で、毎日平均5,000人の子どもが命を落としているのです。

 

すべての人々が安全できれいな水を自然界や社会に過剰な負担をかけることなく持続的に得るために、政府、企業、市民社会がそれぞれ取り組むべきことは――。一時たりとも欠かせない水が、私たちの未来の暮らしのありようを問いかけているのです。